「…連れてきたよ、クリフォード。」
もう随分と前から使われなくなった海辺の倉庫群は、補強・改築が施され、
今では北地区を取り纏める、『ペンタグラム』と呼ばれるチームのアジトだ。
平たく言えば、不良グループ。しかし、法などあって無いに等しい今の世で、圧倒的な力だけが正義だった。
その倉庫群の奥の奥、第七倉庫は、幹部達の根城。
自身も幹部の一人であるバッド・ウォーカーは、数人の部下と共に、一人の少年を連れていた。
周りに比べ頭一つ分低いその少年は、少し長めに伸びた漆黒の髪の隙間から覗く同じく漆黒の瞳を、
恐怖と不安で滲ませていた。
淫靡で退廃的な空気に満ちた倉庫の中、紅の絨毯の上の豪奢なソファーに腰掛ける少年達と、女達。
真ん中に座る、最も屈強な体をした少年が、ペンタグラム総長、通称Mr.ドン。
王者然としたその風貌から、『キング』とも渾名されている。
王の名にふさわしく、妖艶な美女達が彼を取り囲んでいた。
そして、王とその取り巻きから少し距離を置いたところに座る、金髪碧眼の少年。
ペンタグラム副長にして、『プリンス』、ドンと並び双頭とも称される、クリフォード・D・ルイスその人である。
今しがたバッドが声をかけたのも彼だ。
クリフォードは、つまらなそうに彷徨わせていた視線を入り口に移し、
視界にバッドと、連れられた少年の姿を捉えると、ゆっくりと立ち上がり、近づいていった。
「ヨウイチ・ヒルマ……彼で合ってるよね?」
バッドは、再度クリフォードに確認を取ると、気障ったらしく肩を竦めて見せた。
全く意味が分からないよ、と言う風に。
「クリフォ~ド、怯えた子羊を捕まえて、一体何をしようと言うんだ?」
バッドに続きドンもまた、悠然と問うた。片手に女を、片手にワインを遊ばせながら。
そう、バッド達は、ただ「ヨウイチ・ヒルマを連れて来い」とクリフォードから命令を与えられたに過ぎず、
何故、何の為に、何の取り柄もない平凡な少年を連れて来なければならないのか、
その理由を知る者は誰も居なかった。
しかし、問われたクリフォードは、震える少年から視線を逸らすことなく、口端を上げ、呟いた。
「………怯えた子羊に見えるのか、コレが?」
嘲るようなその答えに、ドンをはじめ、倉庫に居た幹部達は眉を顰めた。
クリフォードはゆっくりと歩みを進め、連れられた黒髪の少年――ヒル魔の前に立った。
そして、ゆっくりと、笑う。
満ち足りた、幸福な笑みで。
「―――ヨウイチ・ヒルマ、俺の伴侶になれ。」
告白に、その場に居合わせた全員――勿論当の二人を除いて――は呆け、暫くして笑い出した。
不良×平凡(を装った悪魔)を目指してみました。
つか暫くこの手のネタやってなかったから書きづらいことこの上ない~!
あれですよ、この世界にはアメフトはなく、先生もまだアメフトを考案していない(笑)ものだと考えてください。
勿論ヒル魔さんはただ猫かぶってるだけですからね。
そのほうが何かと裏で動きやすいとかそんな理由で。
それを、何かのきっかけで見破っている先生。ドンですら見破っていないのに…。
あ、続きませんよ。(笑)
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